細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会 ←クリック
ヒブ(Hib)
とは?
ヘモフィルス-インフルエンザb型菌(Haemophilus
influenzae
Type b
)という細菌のことです。名前が長いのでインフルエンザb型菌と呼んだり、ヒブ(Hib)という略称で呼ばれたりしています。「インフルエンザ」という言葉を含んでいるので紛らわしいですが、日本を含む北半球世界で冬にインフルエンザの大きな流行を起こすインフルエンザウイルスとは
まったく関係ありません。
Hibは患者や健康な保菌者の鼻やのどから咳などで生じた飛沫中に含まれていることがあります。この飛沫を吸い込むことなどにより、Hibが、人の鼻や口などから体内に入り、鼻やのどの粘膜に付着し定着・増殖します。この鼻やのどの粘膜へ定着した状態は、一時的なものであったり数ヶ月にわたったりしますが、何の症状も起こさず消滅してしまうことが多いようです。健康な乳幼児の0.5%-3%で鼻やのどでHibが検出されますが、健康な大人で検出されることはまれです。
Hib感染症へのかかりやすさは、年齢によって違います。生後6ヶ月までは、母親からもらった免疫によって守られている乳児もいますが、0〜1歳の乳児の発症頻度が高いことが知られています。5歳以上では、Hib感染症となることが少なくなります。
5歳以上の年齢の人々の大部分は乳児期などに症状なしに感染して免疫を持っていることが多いためと考えられています。
Hibによる重症感染症には、髄膜炎、喉頭蓋炎、菌血症などがありますが、日本ではHibに感染した子どもたちのうち、毎年600人(ほとんどが5歳未満で半数は0〜1歳)が重症感染症で発症して、その20〜30人が死亡し、後遺症を残す子どもが100人以上います。髄膜炎・喉頭蓋炎は死亡率の高い疾病ですが、Hib髄膜炎は、たいへん診断が難しく、初期は胃腸炎とまったく区別がつかないことも多いようです。
また、抗生物質に耐性のHibが増えて治療も難しくなってきているという報告もあります。WHOによれば、Hibにより、全世界で、毎年300万人以上の患者が発生し、386,000人が死亡していると推計されています。
ヒブ感染症はワクチンで防げる
日本では定期予防接種として行われていませんが、1990年代から欧米ではHibワクチンが導入されています。欧米で予防接種を受けたお子さんの予防接種の記録にはHibという略称が記載されています。2008年にはアジア・アフリカを含む110カ国以上で使用されています。WHOの推奨により2003年
までに94カ国で定期接種に組み込まれています。
欧米の5歳以下乳幼児で髄膜炎をおこす原因菌の中で、Hibは非常に頻度の高い細菌でしたが、Hibワクチンが実用されてから、髄膜炎の発症は極めて減少しています。効果は劇的で、今やほとんどの先進国でHibによる重症感染症はないといっても
過言でない状態になっています。
ようやく日本でもこのHibワクチンが接種できるようになります。
副反応
DPT(三種混合)と同等かそれ以下です。
接種スケジュール
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生後2か月から接種ができます
Hibによる髄膜炎は3歳未満、特に0歳から1歳の子どもに多く発症します。そのためできるだけ早く接種したいワクチンです。DPT(三種混合)は、3か月からが定期接種とされていますが、それよりも1か月早く接種が開始できます。
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他のどのワクチンとも同時接種ができます
Hibワクチンは、他のすべてのワクチンと同時接種ができます。
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次の予防接種までは1週間あけます
Hibワクチンは不活化ワクチンですから、次の他の種類の予防接種までの間隔は1週間以上あければ接種できます。ただし、Hibワクチンと生ワクチンの同時接種をした場合は4週間あけることになります。(生ワクチンは次の予防接種まで4週間という規定があるため)
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初回接種を生後何か月から行うかでスケジュールが違います
◎ 初回接種が生後2か月〜7か月未満
DPT(三種混合)のスケジュールと良く似ています。ただ、Hibワクチンは生後2か月から接種が開始できることと、初回の接種間隔がDPTは3〜8週間間隔であるのに、Hibワクチンは4〜8週間と微妙に違うのです。これは医学的な意味というよりも、Hibワクチンが海外からの輸入でもあり、使用法を統一できなかったためと思われます。そこで日本では便宜的に、接種間隔を「DPTと同様に3〜8週間でも可能」としています。これは、DPTとの同時接種が多くなることを想定しての措置です。効果については、3週間間隔でも4週間間隔でも差はないと思います。
◎ 初回接種が生後7か月〜12か月未満
生後7か月もすぎると、Hibに対する抗体を作る能力が少し上がってくるので、初回は2回で終了とします。
◎ 初回接種が1歳〜5歳未満
乳児期と違い、Hibに対する抗体を作る能力が上がっているので、1回接種しただけで終了とします。1年後の追加接種も不用とされています。
◎5歳以上の児
Hib感染症自体がほとんど無いので接種は不用とされています。